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設備のはなし

みなさんこんにちは、姫です。

タイ発祥でグアム生まれのワタクシ姫ですら、この足利の暑さは厳しくて、少しでも冷たい床を探しては寝そべっています。みなさんも熱中症には気を付けてくださいね。

さて、今日はブルワリーの設備の話をします。

グアムに遊びに来てくれた方はご存知のとおり、と~っても小さな設備でビールを創っていました。

醗酵室も手造りで、品質を安定させるのが至難の業だったので、念願の大きなブルーハウスとタンクをアメリカ本土から購入したのが2018年。すぐには使えず、大きな場所に移動してから使うぞ、と思っていた矢先にコロナで自主廃業。。。

ということで、今回この設備を全部、40FTの大きなコンテナに積んで、グアムから横浜港まで運んだんです。

ところがここで、思いもよらぬ難関が。。。
なんと、日本の厚生労働省の決まりでは、ビールという”人間が口にするもの”を製造する設備を輸入する場合、そのビールが通過する部分はステンレス以外認められない、というのです。ゴムや樹脂は論外、アルミニウムやガラスですら絶対だめ。どうしてもというなら、そのステンレス以外のサンプルをいくつも提出して、20万円くらいかけて検査してOKが出れば輸入できる、とのこと。

。。。

こんな奇妙であまりにも理不尽な決まりがまかり通っているのは日本だけらしく、アメリカではもう二度と日本には輸出しない、と断言している業者さんもたくさんいるらしいです。そりゃそうだわ。

要は、もし万が一この設備を使って造ったビールで何か人的被害が出た場合、国産のものなら責任追及できるけど、輸入した海外製品だと責任の所在を明らかにできない、という、お役所の責任逃れ以外の何物でもなく。それでいて怪しい食品を某〇国とか某△国からばんばん輸入してるのはどういうことだ、とご主人様は怒り心頭。

とは言え、せっかく大枚叩いて買った設備を置いてくるわけにもいかず、大きなブルーハウスやタンクからは、とにかくステンレス以外のものは泣く泣く全部外し、日本で購入することに。外せない部品のあるものは全部諦めて、グアムのCarabao Brewingさんに二束三文で買い取ってもらったのです。

ああ、ため息。。。

さらにすべての機器について詳細な図面を書いて提出、もうそれはそれは大変な作業に明け暮れたのでした。

自主廃業して撤収したのが9月末でしたが、結局コンテナがグアムを出たのが翌年2月の下旬、中国韓国を経由して横浜港に着いたのが、3月末でした。

通関から呼び出されたらいつでも説明に行けるようにと、ご主人様はそれに合わせて日本に帰国。でもワタクシ姫は前にもお話したように日本に戻る手段がなく、ゆきこさんと一緒にグアムに留まったのでした。

入念な事前準備の甲斐あって、横浜港では無事問題なく通関、全ての設備は足利市内の倉庫に格納されました。

ここからの物件探しがまた一苦労二苦労三苦労。。。何事も思うようにはいかないものです。

姫とゆきこさんが大冒険の末日本に戻ってきたのが9月。やっとのことで11月に今の場所に辿り着きました。前のテナントさんの契約が2月末までだったので、3月から契約、4月から工事、5月に設備の移設、6月に製造免許、7月に保健所と消防の承認がおりて、ようやく今に至るのです。

現在のブルワリーはこんな感じ。でも実はまだ大きなブルーハウスが稼働できていません。

というのも、やはり諦めて捨ててきた部品の入手に手間取っていること、そしてアメリカ製の設備なのでいろいろな規格が日本と合わないことなど問題山積。。。でも、さすがご主人様はプロ中のプロなので、まわりの皆さんの助けを借りながら、あの手この手で一つずつ解決していってますよ。
ですから、安定生産できるまで、もう少しだけお待ちくださいね。